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東京地方裁判所 平成9年(ソ)14号 決定 1997年4月25日

抗告人(申立人)

山ロフミ

主文

本件抗告を却下する。

理由

一  抗告人は、「平成九年三月二一日付不成立を理由とする調停終了通知を取消し、改めて新たなる調停期日を指定せよ。」との趣旨の裁判を求め、その理由として、別紙記載のとおり主張する。その要旨は、東京簡易裁判所調停委員会は、平成九年三月二一日、同裁判所平成八年メ第七七一八号債務弁済協定調停事件について、調停が成立しないものとしてこれを終了させたが、調停申立人である抗告人は、調停の相手方から調停案を提示され、その検討に着手するなどしており、当事者間に合意が成立する見込みがあったのであるから、調停委員会による調停終了の措置及び東京簡易裁判所による調停不成立の通知は違法であり、取り消されるべきであるというものであると解される。そして、一件記録によれば、調停委員会は、右調停事件につき抗告人主張のとおり事件を終了させ、東京簡易裁判所は、抗告人に対し、その旨の通知をしたことが認められる。

二 しかしながら、調停委員会が、民事調停法一四条に基づき、調停が成立しないものとして事件を終了させることは、調停手続進行上の措置であって、調停手続における裁判には該当しないと解するのが相当である。したがって、右措置に対しては、民事調停法二一条による即時抗告はもとより、非訴事件手続法二〇条による抗告もすることはできないものというべきである。また、右措置が調停手続における裁判に該当しない以上、裁判所が民事調停規則二五条に基づき当事者に対して行う通知もまた、右調停手続における裁判に該当しないといわなければならない。

三  よって、本件抗告は、不適法であるから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官市川賴明 裁判官田中敦 裁判官田中孝一)

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